スペースシャトル無き後の宇宙開発 後編 - EUROPA(エウロパ)

スペースシャトル無き後の宇宙開発 後編

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 NASAは次なる宇宙船は開発しているのか、そしてどこに向かおうとしているのか。今回はスペースシャトル無き後の宇宙開発としてNASAにおける今後のロケット、宇宙船開発を紹介します。

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 アメリカにおける国際宇宙ステーションへの人員・物資の輸送は民間が開発したロケット、宇宙船で行うことが既に決まっています。では、その仕事が無くなったNASAは今後どのような道を進んでいくのでしょうか。そこには遠く離れた赤い星がみえてきました。

NASAの有人宇宙船
 NASAはコンステレーション計画としてスペースシャトルの後継機と月探査を目標にオリオン宇宙船やロケット、及び月着陸機アルタイルなどを開発してきました。しかし、2010年4月16日にオバマ大統領が行った宇宙政策演説で事実上、コンステレーション計画は中止。オリオン宇宙船を打ち上げるアレスIロケットは開発が中止され、またより大型のアレスVロケットについても開発は見送られ『スペースシャトル派生ロケットの開発』が承認されました。

 どうしてコンステレーション計画が中止になったのか、さまざま理由があるんですが、やはりここにも『お金』が関係してきます。アレスIロケットについては試験機が2009年10月28日頃に打ち上げられました。アレスIとはどのようなロケットだったのか振り返ろうと思います。

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 こちらが開発が中止されたアレスIロケットです。第一弾目のロケットが燃焼しているCGイメージなんですが、この第一弾目、どこかで見覚えはないでしょうか。そう、スペースシャトルの打ち上げ時に使用される固体燃料ブースター (SRB)を拡張したものが使われています。試験機の打ち上げで実際に使用された第1段目のロケットは新しく製造されたものではなく、過去48回のスペースシャトルで使用されたSRBの部品をかき集め作られました。中には1981年、シャトルが初めて人を載せて宇宙に行ったときの部品まで使われたといいます。

 このロケットの頭の部分にはNASAが開発したオリオン宇宙船が搭載されています。
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 こちらがオリオン宇宙船のCGイメージです。今思えばこのオリオン宇宙船が現在の混乱の根源かもしれません。実は、アレスIロケットの設計が承認されてから間もなく行われた試験で、オリオン宇宙船はシャトルのSRBで打ち上げるには重すぎた事が判明します。そしてSRBを拡張したものを開発することになり、第2段目もアポロ派生型のロケットもJ-2Xエンジンに変更されました。

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写真:何度も変更されたアレスIロケットの設計

 しかし、何度も試行錯誤を行った結果、開発に時間とお金がかかり開発は中止となりました。

ゾンビのように復活するコンステレーション計画
 コンステレーション計画の中止が発表されるも、オリオン宇宙船は今後も開発を続けると発表がされていました。が、オバマ大統領の演説後丸一年、オリオン宇宙船についてはなんの動きも見せませんでした。しかし、オリオン宇宙船は突然“はいあがって”きたのです。まるでソンビのように…。

 2011年5月24日、NASAは新型宇宙船こと多目的有人宇宙船『MPCV』を発表しました。しかし、そこに出てきたのは紛れもなくリネームしただけのオリオン宇宙船だったのです。(Orionで登録していたTwitterアカウントもMPCVに変更されている)
参考:NASA、多目的有人宇宙船を発表

 そしてオバマ政権で墓地に埋められたアレスVロケットが、今にも目を覚ましそうなのです。このアレスVロケットは月面着陸や基地建設のための大型の機材や資材を月へ送ったり、将来の火星探査用の打ち上げを目的として設計されていました。
 そして思い出してほしいのはコンステレーション計画を中止するときに『スペースシャトル派生ロケットの開発』を承認していたことです。しかもオバマ大統領はアレスVを完全に開発を中止したわけではありません。あくまでアレスVロケットに変わる大型のロケットを設計する計画が“ある”としただけだったのです。

 ここでいう「シャトル派生ロケット」とはいったいなんなのか。墓地で眠るアレスVロケットも実はシャトル派生ロケットなのです。

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 こちらがアレスVです。一見、シャトルとはなんら関係の無いロケットのように見えますが、上半分を手で隠してみてください。まさにシャトルが付いていな外部燃料タンクと固体燃料ブースターがそこに見えてくるはずです。実際にETと呼ばれる外部燃料タンクはシャトルと同じ、固体燃料ブースターはアレスIと同じ拡張したSRBが使用されています。

 復活するとなるとアレスVはなんとリネームされるのか。現在NASAはシャトル派生ロケット『SLS(Space Launch System)』にRAC-1~3の3種の案を用意しているそうです。そのなかでもRAC-1はアレスVをリネームしたものとされています。

RAC-1 スペースシャトルのパーツを活用する構成
RAC-2 全くたらしいいロケット。シャトルとはほぼ無関係の形
RAC-3 アトラスVやファルコン9ロケットを組み合わせたロケット



NASAが目指す深宇宙
 「月は既に行った」とオバマ大統領がコンステレーションが計画の中止を宣言し、一方国際宇宙ステーションは民間がおこなうことになりました。ではNASAはどこを目指すのか。ずばり深宇宙です。

オバマ米大統領が宇宙政策演説

 「わたしたちは2030年代半ばまでに人を火星の軌道に送り込み、地球に安全に戻すことができると信じている(火星軌道到達に成功すれば、その後火星着陸を目指す)。より早く、頻繁に宇宙へ出て、低予算でより遠くまで到達し、長期間滞在できるような技術を開発する。2015年までに新たな打ち上げロケットを設計し、2025年までに新型宇宙船により、月を超えた有人飛行を開始し、史上初めて小惑星に宇宙飛行士を送り込み始める」



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 こちらが新型宇宙船こと多目的有人宇宙船『MPCV』を発表したときに公開されたCGイメージです。火星上空をMPCVとシャトル派生ロケットで打ち上げられた居住区などが描かれています。着陸装置などが描かれていないことから火星軌道に行って帰ってくるというミッションをイメージしたものだと思います。

 どちらにせよ月ではなく火星を目指すというのがオバマ大統領の演説であり、今後10~20年前後で大きな動きがあることは間違いなさそうです。


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