月の裏側にスパコン構築構想、その理由は? - EUROPA(エウロパ)

月の裏側にスパコン構築構想、その理由は?

6702.jpg

 地球からは観測することができない月の裏側に巨大なスーパーコンピュータを設置するという構想を出したのは大学院生のウーリャン・チャン氏です。

 トンデモ構想がされる場所として月があります。これまでも日本のとある企業が月面の赤道を一周するソーラーパネルを設置して地球に電気を送るなどなど、複数の構想が出されました。もちろんこれは現在の話だけではなく古来から月は人類の妄想につき合わされている惑星なんですが、今回も妄想ではなく構想を実現させる場所として月が登場しますよ。

 数週間前、カリフォルニア州パサデナで行われた宇宙関連のカンファレンスに参加した南カリフォルニア大学ウーリャン・チャン氏。チャン氏はこのとき、月にスパコンを設置するというアイディアを思いついたといいます。設置する場所は地球からの電磁波の影響がない月の裏側。また、クレーターの深くにスパコンを設置することで、現在あると思われる水で水冷式のスパコンを動かすというものです。

 なぜそこまでして月にスパコンが必要なのか。チャン氏が言うには、現在NASAの科学者らは深宇宙探査のネットワークトラフィック増加を問題視しているらしく、その緩和に役立つ可能性があるとしています。宇宙空間でのミッションに関するデータ処理は現在は当然地球で行われているんですが、米国とオーストラリア、スペインにある13の巨大なアンテナからなるネットワークが構築され大量のデータ処理が行われているらしく、ネットワークに負荷がかかっているといいます。
 つまり、チャン氏はこの一連のデータ処理を月面に移すことで状況を変えられるとしているのです。

6701.jpg
画像:チャン氏の構想。アンテナ(上)とスパコン施設(下)

 具体的にチャン氏の構想によると、スパコンは月の自転軸の近い極寒の地域に置かれるだろうとしています。これはスパコンを容易に冷却でき、また電気伝導性が非常に高い超電導物質を利用できる可能性があるためです。スパコンが消費する電力は原子力発電もしくはソーラー発電により作られるとしています。

 この構想を実現しようとすると実際にどのくらいのコストがかかるのか。プロジェクト全体で少なくとも100億〜200億ドル(8,000億円~1兆6,000億円)としているそうです。ただしこれらは月に物資を運ぶ費用、月面に掘る費用、スパコンを収容する施設、冷却や発電コストのみで、月面基地の建設費用つまり人件費やその他重機などの費用は一切含まれていないそうです。


 チャン氏は「困難でもやるだけの価値がある」と述べているんですが、仮に今から研究を始めたところで数十年、現在の月面に人を送り込む計画やその他ロケットや着陸機、長期滞在の研究のことを考慮すると、建設開始までに半世紀以上の時間は必要になるでしょう。
 
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
Copyright © EUROPA(エウロパ) All Rights Reserved.